胃カメラ vs 僕

昨日の夕方だった。あまりにも顔色が悪く、不調な僕を見て職場の同僚が「早く帰って休んだ方がいい」と言ってくれた。言葉に甘えて早々に帰宅して、吐き気で食欲の無い胃に無理矢理コンビニで買ったゼリー飲料を2パック流し込んで、ミネラルウォーターで水分を摂り、シャワーを浴びてベッドに横たわった。

しかし、2時間もしないうちに吐き気で目が覚める。吐き気止めの薬を追加して飲むが、自分の唾液すら胃の入り口でうろうろしている感じだった。ミネラルウォーターで水分補給するが、それすら不快であった。再び眠ろうとするが、身体を仰向けにしても、右向きにしても左向きにしても吐きそうになる。うつ伏せなんてもってのほかである。まどろんでは目覚めるのを繰り返す。吐き気を催すだけで、実際に吐くことは無かったのだが昨日は違った。胃酸が出そうな感じすら現れた。

夜も10時を過ぎた頃、これではどうにもこうにもならないと、意を決して車で1時間ほどのところにある夜間救急病院まで行くことにした。「こんな症状で行ってもいいのかな」と思ったが、家で苦しんでいてもどうしようもないのだ。吐き気で逆に目は「カッ」と見開くもので、安全運転で病院に着くことができた。

「救急入口」の事務所には守衛さんがいて、吐き気が止まらないことを伝えた。その病院の診察カードと健康保険証を出したら、まずビニール袋を持ってきてくれた。わずかに、リバースした。廊下の電灯が点けられ、長いシートに腰掛けた。しばらくして、看護師とおぼしき女性がまず現れ、様子を訪ねてきたので経緯を話す。

診察室に通されると、若い女性内科医が症状を訪ねてきた。メンタル系の薬も飲みながら、仕事をしているが、食欲が極端に落ちていることなどを話す。「逆に薬で胃が荒れている可能性もありますが、夕方から何も食べていないのなら、明日検査をしましょう」と、即断で検査することを判断する。後ろには中年男性の医師も、その女医を援護するかのように問診してくる。いろいろと話し、「どうしても」の時の坐薬をもらって帰宅する。また家まで1時間かかるが、水は飲んでもいいということなのでこの地域では数少ない真夜中まで開いているコンビニでミネラルウォーターを買い、飲んでは休みながら帰宅する。

シャワーを浴び、朝まで眠ろうとするがやはり吐き気は続いて、結局眠れたのは朝5時。目が覚めたら朝7時20分。職場に欠勤の電話を入れ、病院に向かう。また同じ道を約1時間かけて進むが、途中で気分が悪くなり、駐車スペースで休憩。予定の時間に間に合いそうもなく病院に電話を入れる。「ゆっくり来て下さい」と内科の看護師は言う。予定より20分遅れて病院に到着。

内視鏡検査室前で問診票に記入しようとしたら、まず腹部エコー室に呼ばれる。ゼリー状のものを腹部に塗って、女性検査技師(というんだろうか?)がお腹全体を調べる。しかし、わずかに胃の上の皮膚に検査器具が触れるだけで、吐きそうになる。じっと我慢する。

次にいよいよ胃カメラだ。女性看護師がまず胃の泡を消すオレンジジュース味の薬のカップをくれる。ごく普通のオレンジジュースの味しかしない。次に、診察台に横たわってゼリー状の喉の麻酔薬を飲む。よくサスペンスドラマである「し、しびれ薬を飲ませたな!」という感じで喉の感覚がなくなっていく。ドラマでは身体全体がしびれるが、胃カメラなのであくまで喉から奥がしびれるのである。次に「口の中に含んだままにしてください」と同じ薬を口に入れられる。5分、10分・・・。どれくらい経っただろうか。口の中はほとんどしびれているが、検査は始まらない。「では、薬を飲み込んで下さい」と言ったところで医者が入室。昨夜、救急で診察してくれた女医だ。

人差し指と親指で丸を作ったぐらいの穴が空いたマウスピースを口に装着される。いよいよ検査の開始だ。まだ胃カメラが入っていないのに、「おゑっ」と嘔吐く。過去2回の苦い胃カメラの記憶がよみがえる。3年ぶり3度目の胃カメラだ。

そこから先はあまり思い出したくない。胃カメラの管が奥に入ったり、手前に引かれたり、カメラの向きが変わったりするたびに苦しみで呼吸困難になりそうになる。涙もあふれる。首から下は固定した姿勢のまま、微動だにできない。ひたすら耐えるしかない。さっきのオレンジジュース味の薬や胃液が逆流してくる。喉が痛い。気持ち悪い。しかしすべては自分の健康のためである。我慢するしかない。やはり胃カメラなんか大嫌いだ! 胃の粘膜の一部を採取することになったらしく、胃カメラの中に針金のようなものが通されていく。後にそれはピロリ菌の有無を調べるものと判明する。

一体どれくらいの時間だったのだろう? 実際は5分ぐらいだったのかもしれないし、10分ぐらいだったかもしれない。地獄のような苦しみから解放された。医師は椅子に座らせて、撮ったばかりの胃の画像を僕に見せる。「胃潰瘍ですね。でも出血は止まっています。ストレスが原因と思われます。先ほど採取したピロリ菌の検査にしばらく時間がかかりますので、待っていてください。」とのこと。

「ああ、胃潰瘍だったのか」と思ったとき、医師は言った。「検査してよかったですね」と。本当に、そう思う。夜中に救急で来て良かった。そして、この医師の判断に感謝する。

20分後ぐらいに、再び診察室に呼ばれる。「ピロリ菌がありました」とのこと。これから服薬による治療が始まるとのことである。1ヶ月半の服薬のあと、再検査(胃カメラでは無いらしい)をするとのこと。まぁ、出血中じゃなくて幸いだった。

会計を済ませる。「おいおいそりゃないぜセニョリータ!」ぐらいの額を請求される。今年に入ってから、ストレス関係での医療費を全部足したら、関西方面一流ホテル3泊4日の旅あるいは函館湯の川の有名ホテル5泊6日の旅ぐらいできているはずだ。悔しいなぁ、なんか。

隣接する調剤薬局で、今後1ヶ月半にわたり飲み続ける薬を出される。初老の薬剤師がエピソード的に言う。「ピロリ菌といえば、ストレスと関係があって、阪神大震災の被災者に多く見られたそうですよ。学会でも発表されてるんです。」と言う。その「被災者」の一人であることを告げると「今まで、胃の方は大丈夫でしたか?」と聞かれた。確かに、胃は強い方では無かったが。ストレスなどがきっかけになって、このピロリ菌は胃や十二指腸で暴れ出すらしい。今回そうなってしまったわけだが、故郷とピロリ菌の意外な関係を知ったのであった。

闘うべき相手の一つがはっきりしたせいか、使った薬のせいか久々に食欲が普通に出てきた。町の大きなスーパーマーケットで食べ物を買い、帰宅した。久しぶりに満足に食事ができた気がする。

今夜こそ、熟睡したい。

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